Pixie Dust Technologies Inc.

頭皮ケア

頭皮が光るのはなぜ?その原因とテカリを抑える方法を解説

/
監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士 【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授 【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など

最近、頭皮が光るようになったと感じていませんか?自宅の鏡や外出先の窓ガラスで光っている頭皮を見るたびに、「薄毛が進行した」「皮脂のせいで光っている?」などと気になると思います。

なぜこのように頭皮が光るのかという原因を突き止めることができれば、光るのを抑えられるかもしれません。ここでは論文や研究成果などをもとに、頭皮が光る原因を解説します。また、光るのを抑える方法も紹介するため、頭皮の光を抑えたい方はぜひ参考にしてください。

光りやすい頭皮の場所とは?

頭皮が光るように感じる場合、光る場所はたいてい前頭部と頭頂部です。側頭部や後頭部はそこまで光るということはありません。その理由は2つあります。

光を反射しやすい

1つ目の理由は、前頭部と頭頂部が太陽光や照明の光を反射しやすい位置にあるからです。正対している時は光が目に入りやすいですし、光は照射されることが多いので光が反射しやすいです。

これは頭を球体に例えるとイメージしやすいかと思います。

前頭部と頭頂部は薄毛になりやすい

2つ目は、前頭部と頭頂部が薄毛になりやすいからです。薄毛だと地肌が透けて見えるので頭皮が光りやすくなります。

なぜ前頭部と頭頂部が薄毛になりやすいのかというと、ヘアサイクルを乱す男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)が前頭部と頭頂部で多く生成されるからです。DHTはテストステロンが5αリダクターゼと呼ばれる酵素と結合することで生成されるのですが、前頭部と頭頂部には5αリダクターゼが多く存在しているのです。

そのため、前頭部と頭頂部は薄毛になりやすく頭皮が光りやすいです。対して、側頭部や後頭部は5αリダクターゼが少ないため、薄毛になりにくく頭皮が光りにくいです。

なぜ薄毛によって頭皮は光るのか?

scalp-shine-why-1

前頭部や頭頂部が光る理由として薄毛があると述べましたが、薄毛によって頭皮が光る理由を掘り下げて解説します。

頭髪の成長期が短縮

頭皮のテカリの原因である薄毛は、男性型脱毛症(AGA)によって起こっている可能性があります。AGAは男性ホルモンの影響によって引き起こされる薄毛のことで、毛髪が細く短くなったり脱毛が起こったりすることで頭皮が見えてしまいます。

大阪大学大学院皮膚・毛髪再生医学の板見智先生は、AGAでは頭頂、前頭部毛包の成長期が短縮し休止期に止まる毛包が増加するという「毛包のミニチュア化」が起こると説明しています

AGAではミニチュア化によって、休止期の毛包(毛を作り出す毛根を包む組織)が増加することで、毛が細く短くなり頭髪の密度が減ってしまうので、地肌が透けて光が反射しやすくなるのです。

加齢によって光る

加齢によっても頭皮は光りやすくなります。東京医科歯科大学・難治疾患研究所・幹細胞医学分野の松村寛行助教、毛利泰彰特任助教、西村栄美教授らの研究グループは、加齢によって幹細胞が老化してフケ・垢とともに皮膚表面から脱落していき、毛を生やす小器官がミニチュア化することによって薄毛・脱毛が起こると説明しています

このように、毛包は加齢によってもミニチュア化するので、年齢が上がるにつれて頭皮が光るようになる確率が高くなります。

皮脂によって光る

頭皮が光るのは、頭皮にある皮脂が原因の場合もあります。

資生堂ビューティサイエンス研究所の研究1)によると、頭皮の皮脂は洗髪で洗い流しても、24時間後には洗髪前と同じレベルに戻ります。さらに、前頭部の皮脂分泌量は、側頭部や後頭部に比べるとほぼ2〜3倍であることがわかっています。

また、花王株式会社が洗髪後の皮脂の挙動について調査したところ、頭皮に発生した皮脂は徐々に髪に移行することがわかりました。髪がべたつくのはそのためです。頭皮に髪が少なければ、皮脂は髪に移行せずに頭皮に留まり続けるため、より光りやすくなると言えます。

1)中村雅子, 頭皮皮脂分泌量に関する研究 (第1報)-洗髪後の頭皮皮脂分泌量の回復について-. 日本化粧品技術者会誌. 1994, 27, 546-549 .

頭皮のテカリを防ぐには

scalp-shine-why-2

ここまで説明したように、AGAや加齢によって薄毛になり、結果頭皮が光ります。AGAは遺伝によって受け継がれる可能性の高い脱毛症ですが、若いうちから対策しておくことで、発症後の進行を遅らせられる可能性があります。

ここでは、AGAの進行を緩和する方法を紹介します。

薬を利用する

内服薬や外用薬を使用することで、AGAによる症状を緩和することが期待できます。それぞれの働きについて確認していきます。

内服薬

内服薬は抜け毛の原因となる男性ホルモンの生成を抑制し、AGAによる薄毛症状を緩和します。日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」(以下:ガイドライン)2)で推奨されている内服薬の成分は、フィナステリドとデュタステリドです。これらの成分は、複数の臨床試験で有効性や安全性などが確認されているので信頼性も高いです。

フィナステリドを含む内服薬としては、「プロペシア」などがあります。これはDHTの生成を阻害します。デュタステリドを含むものは「ザガーロカプセル」などです。どちらも医師の処方箋が必要なので、専門クリニックや病院の皮膚科を受診するのがよいでしょう。

内服薬について詳しく知りたい方は以下の記事を参照してください。

2)眞鍋求, 坪井良治, 板見智 他, 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会. 2017, 127, 2763–2777.

外用薬

AGAに使われる外用薬でもっともポピュラーなのはミノキシジルという成分を含んだ外用薬です。ミノキシジル外用薬は1980年代に世界で初めて認可された薄毛治療薬であり、血管拡張作用や発毛、毛髪の成長促進などの効果が認められています。ガイドライン2 )では、5%ミノキシジルの外用を強く推奨しています。

大正製薬の長期投与試験では、ミノキシジル1%外用薬で6ヵ月以上、ミノキシジル5%外用薬で4ヵ月以上使用を継続すると効果を実感できる、とあります。ミノキシジル外用薬は医師による処方、または薬局などで市販品を購入できます。

注意点として、ミノキシジルには外用薬だけではなく内服薬もありますが、ミノキシジルの内服はガイドライン2)で推奨されておらず、副作用の報告もあるので服用しないようにしましょう。

LEDを利用する

LEDを利用することで、AGAの進行を抑えられる可能性があります。LEDには毛髪の成長をコントロールする毛乳頭細胞を活性化する作用があり、ガイドライン2)でもLED照射を行うよう勧めるとあります。

AGA治療に用いられるLEDは主に赤色LEDです。赤色LEDは波長が長く、頭皮の奥深くまで光が届きやすいという特徴を持っています。株式会社アデランスとミニョンベルクリニックの発表では、男性モニター患者10人に超狭帯域の赤色LEDを一定期間に渡り照射したところ、育毛効果についての有効率が100%という結果が出ています。

このように、頭皮に赤色LEDを照射することで毛乳頭細胞を活性化させ、頭髪の成長短縮を防ぐことができます。また、LEDは内服薬や外用薬とも併用できます。

LEDの育毛効果については以下の記事で詳しく説明しています。

最新の治療を受ける

AGA治療は日々進化しており、専門クリニックで最新の治療を受けることができます。

例えば、薄毛·AGA治療を行っているDクリニックでは、「非接触振動圧刺激装置」が試験的に導入されています。この装置は、超音波によって非接触で頭皮に振動圧刺激を与えるものであり、ピクシーダストテクノロジーズと日本医科大学形成外科教室・Dクリニックが共同で行った研究では、超音波を用いて非接触で頭皮に振動圧刺激を与える技術により発毛を促進することが認められました。

発毛治療に使用する塗り薬と併用することで、通常よりも早いスピードでの発毛が期待でき頭皮のテカリを抑えることが期待できます。

Dクリニックの「非接触振動圧刺激装置」についてはこちら

頭皮マッサージをする

頭皮マッサージをすると髪の毛が太くなるという研究があります。

薄毛・AGA治療を行っているDクリニックの研究3)によると、市販のマッサージ器を利用して頭皮を6ヵ月間マッサージを行ったところ、24週の時点で毛径に有意な増加を確認できました。また、継続的にマッサージを行うことで毛周期に関与する遺伝子が発現しやすくなり、脱毛を誘導する遺伝子の発現を抑えることができる可能性があることがわかりました。

頭皮マッサージを行うことで毛を太くでき、頭皮の成長短縮を防げる可能性があるのです。毛がより正常に成長するので、頭皮が光るのを抑えることができます。

育毛効果のある頭皮マッサージについて詳しく知りたい方は以下の記事を参照ください。

3)Koyama T, Kobayashi K, Hama T, Murakami K, Ogawa R, Standardized Scalp Massage Results in Increased Hair Thickness by Inducing Stretching Forces to Dermal Papilla Cells in the Subcutaneous Tissue, Eplasty. 2016 , 16:, e8. eCollection 2016.

頭皮に栄養が届きやすい生活をする

頭皮に栄養が届きやすい生活をすることで、より頭髪を長く太くでき、成長期間の短縮を間接的に改善できる可能性があります。そのためには、頭皮の血行がよい状態を保たなくてはなりません。血行が悪いと頭皮に栄養が行き渡らず、頭皮環境が乱れて毛髪の成長が妨げられてしまう可能性があります。

頭皮の血行がよい状態にするには、以下のような生活を心がけるのがよいでしょう。

  • 十分な睡眠を取る

  • バランスのよい食生活をする

  • 禁煙をする

  • 飲酒量を減らす

  • ストレスを溜めない

  • 適度な運動をする

このような生活により、AGAの進行を遅らせ頭皮が光るのを防げる可能性が高まります。

皮脂を抑えるためには

scalp-shine-why-3

頭皮が光る原因として、皮脂によって光るというものがありました。そこで、皮脂を抑える方法を紹介します。

正しい洗髪を行う

頭皮の皮脂を抑えるためには正しい方法で洗髪をするのがよいです。

洗髪は1日に1回が理想です。それ以上の回数は洗いすぎの可能性が高く、頭皮の皮脂を落とし過ぎてしまうかもしれません。皮脂が足りないと頭皮は乾燥し、その乾燥を改善しようとさらに皮脂を分泌してしまいます。また、洗い方としては以下のように丁寧に洗いましょう。

  1. 洗髪前に乾いた状態の髪をブラッシングして汚れを落とす

  2. ぬるま湯で1~2分予洗いする

  3. シャンプーを同量の湯で泡立ててから使う

  4. コンディショナーが頭皮につかないようにする

  5. 十分にすすぐ

頭皮トラブルを防ぐために、スカルプシャンプーなどを使うのもよいでしょう。

乾燥を避け保湿をする

頭皮の皮脂を抑えるためには、乾燥を避けて保湿を心がけましょう。頭皮の乾燥は皮脂の過剰分泌や皮膚刺激、フケの原因になります。乾燥が悪化すれば、粃糠性脱毛症などを引き起こす可能性もあります。

頭皮用の保湿剤としては、セラミド成分を配合したローションや美容液、育毛剤などがあります。肌が敏感な方は、アルコールや殺菌成分が配合されたものは避けるのがよいでしょう。

菌の繁殖を防ぐ

頭皮に皮脂や汗が留まった状態が長時間続くと、頭皮でマラセチアという菌が繁殖してしまうことがあります。マラセチアとは皮脂などを好む真菌(カビ)のことで、脂漏性皮膚炎や脂漏性脱毛症の原因にもなる菌です。こういった病気は脱毛を引き起こすので注意が必要です。

正しい洗髪をするとともに、洗髪後はすぐにドライヤーで髪を乾かしましょう。菌の増殖を抑える方法としては、抗菌剤入りのシャンプーを用いるのもよいでしょう。

食生活を整える

食生活は頭皮の皮脂に影響を与えるので、整った食生活を送るようにしましょう。脂質や糖質の多い食事は頭皮の皮脂分泌を促進することがあるので避けるとともに、栄養バランスの整った食事をするのが重要です。

また、以下のような食生活は頭皮の環境を悪化させる可能性があるので避けるようにしましょう。

  • 暴飲暴食

  • ダイエットによる極端な食事制限

  • 外食の多用

  • 就寝直前の食事

食生活を整えることで頭皮の皮脂分泌を抑制し、頭皮が光るのを防げる可能性があります。

それでも頭皮の光がおさまらない時には

ここまで紹介した方法を行っても頭皮が光るのを抑えられないという場合には、以下のような対策を行うのがよいです。

植毛

植毛とは、薄毛が気になる部分に毛髪を植え込む方法のことです。毛根や毛乳頭細胞が死滅していて育毛や発毛ができない場合でも、植毛によって頭皮が光るのを防ぐことができます。

植毛には自毛植毛と人工毛植毛があり、ガイドライン2)には自毛植毛は推奨度Bで、人工毛植毛は推奨度Dの「行うべきではない」とされています。そのため、植毛は自毛植毛を選択するようにしましょう。

自毛植毛は、薄毛の影響が少ない側頭部や後頭部の毛包組織を摘出して、薄毛が進行している前頭部や頭頂部に植え込む植毛法です。毛髪を作る毛包ごと移植するため、髪が生えなくなってしまった場所でも髪を生やすことができます。ただ、自分の頭に生えている髪をドナーとして使うので、一度に移植できる本数には限界がありますし、術後一定期間痛みがあります。

植毛については以下の記事で詳しく説明しています。

かつら

AGAが進行している場合、頭皮の光を抑えるのにかつらは有効です。AGAが進行して毛髪を作る毛根や毛乳頭細胞が死滅している場合、育毛や発毛をすることは難しいです。そんな場合でも、かつらを着用すれば頭皮を隠すことができ、頭皮は光りません。

ガイドライン2)でも、治療の一環としてかつらの着用を推奨しています。男性被験者26人に対し、かつらの使用前後にアンケート調査を実施した研究4)によると、患者のQOLや満足度を示す指標が向上したとの報告があります。

頭皮が光ることで悩んでいるなら、かつらを着用するのがよいでしょう。

4)犬井茂樹, 井上武信, 板見智, 男性型脱毛症患者の知覚された生活の質レベルに対するかつらの効果. 皮膚科ジャーナル. 2013, 10, 1346-8138.

まとめ:頭皮が光る場合は早めに対処しておくのが重要

頭皮が光るのが気になり、スカルプシャンプーやヘッドマッサージなど独自にケアを行っている人も多いと思います。ただ、思うように改善されないという人もいるかもしれません。

その原因がAGAの場合などは男性ホルモンや遺伝が影響しますので、専門的な治療が必要となる可能性があります。専門クリニックや病院の皮膚科を受診して、頭皮が光る原因を調べてもらうのがよいでしょう。遺伝子検査や血液検査で原因をしっかりと調べてもらえますし、専門的な治療を施してもらえます。

なかでも、最新の研究を取り入れた治療を行っているクリニックがおすすめです。

最新の薄毛治療とそれを行っているクリニックに関しては以下で解説しています。

関連記事