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頭皮ケア

【ドクター監修】頭皮マッサージはやりすぎると危険?そのリスクや注意点を解説

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監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士 【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授 【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など

抜け毛や薄毛のケアをしている人のなかには、頭皮マッサージを行っている人もいるのではないでしょうか。ただ、マッサージを継続することは頭皮ケアになりますが、やりすぎると逆効果になってしまうという話を聞いたことがあるかもしれません。

本当に頭皮マッサージはやりすぎるとよくないのでしょうか。また、やりすぎることによってどのような悪影響を及ぼすのでしょうか?

この記事では、頭皮マッサージのやりすぎによって起こる症状、頭皮マッサージを行う際の注意点、正しい頭皮マッサージの方法について解説します。

頭皮マッサージの効果とは

そもそも、頭皮マッサージにはどのような効果があるのでしょうか?頭皮や毛髪を健やかに保つ方法として、頭皮マッサージは医師や専門家らの研究によってもその効果が報告されています。

まずは頭皮マッサージをすることで期待できる3つの効果を紹介します。

育毛

頭皮マッサージを行うことで、育毛効果が期待できます。

Dクリニックが行った研究1)では、市販の頭皮マッサージマシンを使い24週にわたり頭皮マッサージを行ったところ、「健常男性の毛径が増大することを確認した」と報告されています。

薄毛になる理由のひとつとして、髪の成長をコントロールする毛乳頭細胞の働きが弱まることが挙げられます。それによって髪が細く短くなり、抜け毛が増えることで薄毛が進行するのです。研究では、頭皮マッサージには「毛乳頭へ伝わった力学的刺激が毛周期に関与する遺伝子の発現に影響を及ぼしている可能性がある」とされています。

毛乳頭へ刺激を与えることで、太く健康的な髪を作り薄毛を改善できる可能性があるのです。

1)Koyama T, Kobayashi K, Hama T, Murakami K, Ogawa R. Eplasty. 16, e8, 2016.

血行促進

頭皮マッサージを行うことで、頭皮の血行促進効果も期待できます。

花王株式会社の研究2)では、頭皮の地肌マッサージを約3分間行ったところ、「頭皮血流量は、頭頂部、側頭部いずれにおいても、施術前の血流量に対して有意に上昇し、施術20分後に約20%程度まで上昇した状態を持続する変化を示した」とされています。

頭皮の血行が促進されることで、毛乳頭にある毛細血管から栄養が行き渡りやすくなり、毛髪を成長させるとともに健康な状態に保てるので、頭皮や毛髪のトラブル予防にもつながるでしょう。

2)曽我元, 森田康治, 新井賢二, 地肌マッサージの頭皮への作用. 花王株式会社 ヘアケア研究所. 2014

ストレス軽減

頭皮マッサージには、ストレス軽減の効果があるとされています。タカラベルモント株式会社の論文3)では、「生理的指標において、圧迫法、指圧法、軽擦法では顕著なストレスの軽減がみられ」「すべての基本手技には副交感神経の活性化によるストレスの軽減効果があると考えられる」と説明されています。

ストレスは抜け毛の原因ともいわれているので、薄毛が進行していると感じる場合や抜け毛が増えていると感じる場合などには、頭皮マッサージを行うのがよいかもしれません。

3)萬成哲也, 戸田和成, 小川俊介, 佐藤千怜, 中嶋礼子, 細川博史, 大西日出男, 「ヘッドスパ」における頭皮マッサージ基本手技が心身に及ぼす影響. タカラベルモント株式会社. 2018.

頭皮マッサージのやりすぎによるリスク

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頭皮マッサージには様々なメリットがありますが、やりすぎてしまうと逆効果になるかもしれません。ここでは、頭皮マッサージのやりすぎによるリスクを紹介します。

毛根へのダメージ

頭皮マッサージを行う際に強い力をかけすぎたり頻度が多すぎたりすると、毛根細胞へダメージを与えてしまう可能性があります。

毛根には毛乳頭細胞と毛母細胞からなっている毛球部があり、毛髪の成長に大きな影響を及ぼしています。頭皮マッサージで毛根部を傷つけてしまうと毛髪の成長に問題が起こり、細く短い毛が増えたり抜け毛が起こったりする可能性があります。

また、強い力でマッサージをするとその摩擦や勢いで髪が抜けてしまう可能性もあります。頭皮マッサージを行う際は力をかけすぎないようにするとともに、1日1度など適度な頻度で行うようにしましょう。

炎症

毛根へのダメージだけでなく、強い力でマッサージして頭皮を傷つけてしまうと、その部分に炎症が起こる恐れがあります。

頭皮の表面は柔らかく、爪でも簡単に傷がつきます。ゴシゴシと強く刺激をしたり、爪を立てた状態でマッサージを行ったりすると、簡単に傷がつきその傷が炎症やニキビの原因となってしまいます。

また、手でマッサージを行う場合、手に付着した菌が頭皮に移り、それが原因で炎症やニキビを起こす可能性もあります。手で頭皮マッサージを行うときには清潔な状態で行いましょう。

髪質の悪化

頭皮マッサージをやりすぎると、髪質の悪化を招いてしまう可能性があります。

ライオン株式会社が行った毛髪や頭皮にやさしい洗浄技術についての研究4)では、「キューティクルは、過度のブラッシングや乱暴な洗髪など、強い物理力によって破壊されると、毛髪の内部までダメージが進み、枝毛や切れ毛の原因となる」と説明されています。

キューティクルとは毛小皮のことであり、毛髪の最外層に存在し髪の内部を守る働きをしています。強い力をかけたり高頻度で摩擦をかけたりすると、このキューティクルが破壊されてしまうのです。

頭皮マッサージを1日に何度も行ったり長時間行ったりすると、髪の毛が擦れて枝毛や切れ毛が起こる可能性があるので避けましょう。

4)柏井利之,毛髪・頭皮にやさしい洗浄技術, 日本化粧品技術者会誌, 2013, 47, 3–8.

やりすぎにならない頭皮マッサージの頻度とは?

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頭皮マッサージをやりすぎると、毛髪にダメージを与えてしまうことがわかりました。では、頭皮や毛髪にダメージを与えずポジティブな効果を得られるようなマッサージの頻度とはどの程度なのでしょうか?

頭皮や毛髪にダメージを与えないためには、1日に何度も頭皮マッサージを行うのは避けましょう。頭皮マッサージは正しく行えば、1日に3~4分程度で効果が得られます。

Dクリニックの研究1)でも、毎日4分の頭皮伸展マッサージを24週間行ったことで毛径が増加したとされていますし、圧迫法による血流促進作用を発表した花王株式会社の研究2)でも、約3分間のセルフマッサージ方法によって即時的な血行促進作用が認められたとされています。

このように、頭皮マッサージは1日に3〜4分程度の短時間行い、何度も行うのは避けましょう。

頭皮マッサージを行う際の注意点

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頭皮マッサージで頭皮や毛髪にダメージを与えないためには、頻度以外にも注意すべき点があります。以下のようなポイントに注意しましょう。

爪を短くした状態で行う

手で頭皮マッサージを行う際は、爪を短くしておきましょう。長い爪は頭皮を傷つけやすいだけでなく、爪の間に付着した汚れや細菌などが頭皮環境を悪化させる可能性があります。

日頃から爪は短く切っておき、手や指を清潔にした状態でマッサージを行うとよいでしょう。

負荷をかけすぎない

頭皮マッサージを行う際は、力を入れすぎて頭皮に負荷を与えすぎないことも大切です。

頭皮に痛みや赤みが出るほどの強い力で押したり、ブラシで叩くようなマッサージを行うと頭皮にダメージを与えてしまいます。上で紹介した圧迫法によるマッサージ方法3)についての説明でも、「弱く荷重をかけながらマッサージを行う」とされています。

過度な伸展刺激を長時間繰り返すと、炎症反応を引き起こし、毛細血管の血管透過性が亢進(過剰な上昇)し、血液が血管外へ漏出し、頭皮の恒常性が破綻するリスクがあります5)

肩や腰などのマッサージとは違い、頭皮マッサージを行う際の力は心地よさを感じる程度の軽い力をかけるのがよいでしょう。

5)Demir T, Takada H, Ogawa R, 他 Role of Skin Stretch on Local Vascular Permeability in Murine and Cell Culture Models, Plast Reconstr Surg Glob Open 10, e4084, 2022.

髪の摩擦を防ぐ

頭皮マッサージを行う際は、髪の摩擦を防ぐ工夫を行うのもよいかもしれません。

上で紹介したように頭皮マッサージによって髪が強い摩擦を受けると、キューティクルが破壊され、枝毛や切れ毛が起こる可能性があります。キューティクルが傷んでしまうと、髪がゴワゴワしたり、つやが失われる可能性もあります。

摩擦によるダメージを防ぐには、頭皮マッサージを行う際にスカルプシャンプーやオイルを使用するのもおすすめです。また、マッサージを行う前にブラッシングをすることで、髪の絡まりが少なくなり、摩擦を防ぐことができます。

育毛剤を同時に利用する

頭皮マッサージで薄毛や抜け毛の対策を行う場合、育毛剤や育毛ローションを塗布して行うのもよいでしょう。

頭皮マッサージと同時に利用するのがおすすめなものとしては、ミノキシジルやアデノシンが配合されたものです。これらの成分には発毛や育毛を促す効果がありますし摩擦なども防いでくれるので、頭皮マッサージと同時に使用することで薄毛対策になります。

Dクリニックの研究では、「ミノキシジルとヘッドマッサージ(振動圧刺激)を同時に活用することで発毛指令を促す毛乳頭細胞の反応が増強されることがわかりました」とされています。

また、株式会社資生堂の研究6)では、アデノシン配合のローションを6ヶ月間塗布したところ、毛髪密度の増加を確認したともされています。

このように、ミノキシジルの外用薬やアデノシン配合の外用ローションを使うとともに頭皮マッサージをすることで、薄毛対策にもより高い効果が期待できます。

6)江浜律子, 岩渕徳郎, 飯野雅人 他, 女性の薄毛とアデノシンによる改善効果. 株式会社資生堂. 2011.

頭皮マッサージができるツール、装置

頭皮マッサージは、手で行う以外にもマッサージ機器や装置を使って行うことができます。ここではそのツールや装置を紹介します。

頭皮マッサージャー

頭皮マッサージを行う際は、市販のヘッドマッサージ機や頭皮マッサージャーを使うのもおすすめです。手で行う場合は力が必要ですが、マッサージャーであれば当てるだけで刺激を与えられます。

頭皮マッサージャーは、薄毛対策専門のメーカーや家電メーカーなどから販売されています。マッサージャー自体にも防水タイプなど様々な種類があるため、用途に合わせて選ぶとよいでしょう。

頭皮マッサージャーを使う際は、頭皮に強すぎる力が加わらないよう注意したり、やりすぎないように推奨時間を守ったりすることも大切です。販売されている頭皮マッサージャーについては以下の記事で解説しています。

非接触振動圧刺激装置

AGA専門のクリニックでは最新の頭皮マッサージ機器を利用できます。例えば、超音波を使用して頭皮に刺激を与える「非接触振動圧刺激装置」というものがあります。

ピクシーダストテクノロジーズと日本医科大学形成外科教室・Dクリニックが共同で行った研究では、超音波を用いて非接触で頭皮に振動圧刺激を与える技術により発毛を促進することが認められました。ミノキシジルなど、発毛治療に使用する塗り薬と超音波による非接触振動圧刺激の技術を組み合わせることで、より高い発毛効果が期待できます。

この装置は、薄毛・AGA治療を行っているDクリニックに試験的に導入されています。この技術を利用した個人向けのデバイスも研究・開発されています。

まとめ:頭皮マッサージはやりすぎず適切な頻度で行おう

頭皮マッサージをすることで毛乳頭への刺激や血行促進などの効果が期待できる反面、やりすぎてしまうと毛根にダメージを与えたり、炎症や髪質の悪化を引き起こしたりしてしまう可能性があります。

そして、それによって抜け毛や枝毛、切れ毛などを引き起こしてしまうかもしれません。頭皮マッサージを行う際は、適度な頻度で行いましょう。

現在、薄毛の兆候が出ていなくても、若いうちから頭皮マッサージなどのケアを行うことで将来的な薄毛予防にもつながります。頭皮マッサージの方法は以下で解説しているので参考にしてください。

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