自宅でできる頭皮ケアのマッサージとは?その効果やアイテムも解説
将来の薄毛や抜け毛が不安で、今のうちから対策を行っておきたいという方は多いと思います。でも、クリニックに行ったり、薬を使用したりといった本格的な治療には抵抗があるかもしれません。
そんな方におすすめなのが、自宅で手軽にできる頭皮ケアマッサージ。マッサージで頭皮をケアすることで、薄毛や抜け毛の予防が期待できます。
この記事では、マッサージによる頭皮ケアの効果について、論文など信頼できる情報をもとに解説するとともに具体的なマッサージの方法や役立つアイテムなどを紹介します。
マッサージによる頭皮ケアの効果とは?
頭皮マッサージをすることで、頭皮や毛髪に対して様々な効果が期待できます。
薄毛の改善
頭皮マッサージには、薄毛の改善効果が期待できます。
頭皮マッサージが毛髪に及ぼす影響に関するDクリニックによる研究1)では、市販の頭皮マッサージマシンで毎日4分のマッサージを24週行ったところ、「頭皮をマッサージすることによって、毛の本数や伸びに変化は見られなかったものの、毛髪の太さが増大することが確認された」という報告がされています。
薄毛になる仕組みとしては、成長期間が十分でないために毛包のサイズが小さくなり、毛髪が細く短くなります。その結果、外見上薄毛だと認識されるようになります。ですので、マッサージによって毛髪を太くすることで、薄毛を改善できる可能性があります。
頭皮マッサージによる育毛効果については、以下の記事で詳しく解説しています。
1)Koyama T, Kobayashi K, Hama T, Murakami K, Ogawa R. Eplasty. 2016 Jan 25;16:e8. eCollection 2016.血行促進
マッサージによる頭皮ケアでは、薄毛改善やミノキシジルの発毛効果促進だけでなく、血行促進効果も期待できます。
花王株式会社ヘアケア研究所の研究2)では、「約3分間のセルフマッサージ方法を創案した。この方法により地肌をマッサージすると、即時的な血行促進作用が認められ、平均で約 120%まで上昇し、20 分程度持続することを確認した」とされています。
頭皮マッサージを行って頭皮の血行がよくなると、毛髪の成長に必要な栄養が運ばれやすくなると期待できます。
では、こういった効果が得られるマッサージ方法とはどのようなものなのでしょうか?
2)曽我元, 森田康治, 新井賢二, 地肌マッサージの頭皮への作用. 花王株式会社 ヘアケア研究所. 2014頭皮ケアのためのマッサージの方法
ひと口に頭皮マッサージといっても、様々なアプローチがあります。ここでは、研究で言及されている圧迫法を利用したものと刺激を与えるマッサージ方法について解説します。
圧迫法によるマッサージ
圧迫法とは、頭皮に対して一定の間隔で荷重を与えるようなマッサージのことです。
花王株式会社 ヘアケア研究所の研究2)では、様々なマッサージ方法の血液量の変化を比較した結果、「頭皮における血液量変化は、圧迫法が最も大きく上昇し、持続性も比較的高かった」とされています。
圧迫法を利用することで血流を促進し、頭皮により栄養を届けることが期待できます。
圧迫法によるマッサージのやり方
圧迫法によるマッサージとは、指で頭皮を押さえ一定の加重をかけ、その後加重をゆるめるということを繰り返す方法です。指で頭皮をつかむようにして圧迫します。
具体的なやり方として、タカラベルモント株式会社 化粧品研究開発部の研究3)では以下のような手順で行われています。
手掌全体で10秒間、側頭部を3回、大きく円を描くように弱く荷重をかけながらマッサージを行う
その後5秒間強く圧迫する
合計15秒間の動作を繰り返す
また、花王株式会社 ヘアケア研究所の研究2)では、以下とされています。
第2指を毛刈り部位にあて、頭皮に対して垂直に、約3kgの荷重で押さえる
ゆっくりと荷重をゆるめ、荷重のない状態とする
1・2を、2秒間に1回程度の速さで1分間くり返す
頭皮に刺激を与えるマッサージ
圧迫だけでなく、頭皮に刺激を与えるマッサージも発毛や育毛の効果が期待できます。アンファー株式会社と日本医科大学形成外科の共同研究では、「振動圧刺激が発毛促進につながる可能性が高い」という成果が報告されています。
頭皮に物理的な刺激を与えることで、発毛を促せる可能性があるのです。
頭皮に刺激を与えるマッサージのやり方
頭皮に刺激を与えるマッサージ法としては、日本コスメティック協会認定指導員 小田芙美氏によって開発された「川島式ヘアメディカルマッサージ」があります。具体的な手順は、以下の通りです。
洗髪後、タオルドライしてからミノキシジルを塗布
百会のツボ(両耳に親指を入れ両方の手のひらで頭を覆うようにしたときに中指が合わさる点)を、両手の中指を重ねてじんわりと3回プッシュ
四神聡(百会から指2本分前後左右に離した4か所)のツボを中指で3回プッシュ
角孫(耳の一番上の位置の頭側)のツボに親指を置き、残りの四つの指で頭頂部から下へ向かって4ヶ所プッシュ
プッシュした4ヶ所を、上から順に四指を回しながら頭皮をマッサージ
角孫のツボに親指を置いたまま、生え際の真ん中から耳側に向かって四指でプッシュ
同じ4ヶ所を、上から順に四指を回しながら頭皮のマッサージ
頭全体で指の位置を移動しながら、五指で大きく指を回してマッサージ
頭全体で指の位置を移動しながら、親指と三指でリズミカルに頭皮をつかんではじく
両方の手のひらで側頭部を包み込むようにしてプレス
両方の手のひらで生え際・頭頂部を包み込むようにしてプレス
行うときには、指の腹に力が入るように刺激を与えるとともに、髪の毛ではなく頭皮を動かすように意識しましょう。
頭皮をマッサージする際の注意点3つ
マッサージによる頭皮ケアをすることで様々な効果が期待できますが、やり方によっては逆効果となってしまう可能性もあります。ここでは、頭皮をマッサージする際の注意点を3つ紹介します。
1.頭皮マッサージはやりすぎに注意
マッサージによって頭皮ケアをする際は、やりすぎないように注意しましょう。マッサージを長時間・高頻度で行ってしまうと、頭皮に負担がかかり頭痛や頭皮トラブルを引き起こす可能性があります。
頭皮マッサージによる効果は短時間でも得られます。マッサージでの育毛効果が確認されたDクリニックの研究1)でも、頭皮マッサージマシンで毎日4分の頭皮伸展マッサージを24週間行っただけで毛径の増加が確認できています。
これくらいの短時間のマッサージでも効果が得られるので、やりすぎないようにしましょう。
2.爪を短くした状態で行う
頭皮マッサージを行う際は、爪を短くしておきましょう。爪が長い状態だとマッサージの際に頭皮を傷つけてしまい、その傷が炎症やニキビの原因となるかもしれません。また、長い爪には汚れや細菌などが付着する可能性があり、傷を悪化させる可能性があります。
爪は短く切っておき、手指も清潔にした状態でマッサージを行いましょう。
3.力を入れすぎない
頭皮マッサージを行うときには、力を入れすぎて頭皮に負担を与えないようにしましょう。痛みや赤みが出るほど強い力で押したり、強く叩くようなマッサージを行ったりすると、頭皮にダメージを与えてしまうかもしれません。
圧迫法によるマッサージの方法が書かれているタカラベルモント株式会社の研究3)では「弱く荷重をかけながらマッサージを行う」とされています。
マッサージでは、心地よさを感じる程度の軽い力でマッサージするようにしましょう。
マッサージを行うタイミングとは?
頭皮ケアに効果的なマッサージは、いつ行うのがよいのでしょうか。そのタイミングを紹介します。
朝・夜
ヘッドセラピストの育成を行っている「JHMA日本ヘッドセラピーマスター協会」の頭皮・頭髪ケアコラムによると、マッサージによる頭皮ケアは朝と夜の1日2回行うのが理想とされています。
頭皮の血液量は体が活動している日中に多くなり、活動量が低下する夜から朝にかけては少なくなります。そのため、頭皮の血液量が減少するタイミングでマッサージを行うことで、頭皮の血行が常に良い状態を保てるようになるのです。
さらに、朝のマッサージは活動的になるスイッチになり、夜のマッサージはリラックス効果につながるため、身体面だけでなく精神面でも良い影響を与えると考えられています。
頭皮ケアのマッサージに利用できるアイテムとは?
頭皮ケアのマッサージを行う際に活用すると、より効果を高められるアイテムを紹介します。
スカルプシャンプー
スカルプシャンプーとは、頭皮をケアするために開発されたシャンプーです。頭皮に優しい成分で作られていますし、頭皮の乾燥を防ぎ、必要な皮脂を落としてしまわないよう設計されています。
スカルプシャンプーで髪を洗うついでにマッサージするよう習慣付ければ、頭皮環境を健全な状態に保ちながら、頭皮に刺激を与えることができるでしょう。
オイル
オイルを塗布することで、頭皮トラブルの改善が期待できます。
オイルを使用することで、余分な皮脂を取り除くことができたり、乾燥を防ぐことができます。また、香りのあるオイルを選べば、リラックスしながらマッサージが行えるでしょう。
頭皮マッサージに利用されるオイルとしては、オリーブオイルやツバキオイル、ホホバオイルなどがあります。
マッサージ器
自分の手で行うマッサージだと続けられない、手でのマッサージでは効果が感じられないという人もいると思います。そういう場合には、マッサージ器を使うのがおすすめです。
頭皮のマッサージができるマシンにも様々なタイプがあるため、必要な機能の有無や形状などの項目をチェックして選ぶようにしましょう。
予算に余裕があるようなら、プロの手技を再現したものだったり、複数のアタッチメントがあったり、防水加工がされていたりといったプラスアルファの機能があるものを選ぶと、マッサージをより効率的に行えるようになります。
頭皮ケアができるマッサージ器は、以下の記事で紹介しています。
ブラシ
マッサージをする前にブラシをかけることで、髪や頭皮のゴミや汚れをある程度落とすことができます。髪のからみも整えられるため、マッサージをしているときに髪が指に引っかかりにくくなります。
頭皮マッサージに特化した専用のヘアブラシも市販されているため、試してみてもよいでしょう。
ただし、ブラシでのマッサージを頻繁にやりすぎると頭皮を傷つけることもあるため、短時間でサッと行うのがポイントです。
まとめ:マッサージで頭皮ケアをして薄毛・抜け毛を予防しよう
マッサージによる頭皮ケアには、育毛や発毛、血行促進などの効果が期待できます。親族に薄毛の人がいる人や最近脱毛が気になってきたという人は、ぜひ日常的に頭皮マッサージを行うようにしましょう。AGAの発症率は年齢とともに高まりますので、薄毛のリスクを抑えるためにも、マッサージによる頭皮ケアは早い段階から行うのがおすすめです。
頭皮マッサージを行うときには、今回紹介したマッサージのやり方や注意点、マッサージに役立つアイテムなどを参考にしてみてください。
もし、自分の手での頭皮マッサージの方法がいまいちわからないという場合や発毛や育毛の効果が見られないという場合には、頭皮マッサージ器や外用薬を利用したり、専門のクリニックを受診するようにしましょう。
マッサージ以外の頭皮ケア方法に興味がある方は、以下の記事も参考にしてください。