LEDに育毛効果はある?赤色LEDのメカニズムやメリット・デメリットを紹介
近ごろ抜け毛や薄毛が気になってきたという人のなかには、LEDでの育毛に取り組みたいと考えている人もいると思います。LEDによる育毛の方法としては、薄毛専門のクリニックや家庭でのケア用に開発されたLED照射機などがあります。
はたして、このようなLEDの機器には本当に育毛に効果があるのでしょうか?また、LEDが搭載されている機器によって、効果に違いなどはあるのでしょうか?この記事では、LEDが毛髪に与える影響とメカニズムについて解説するとともに、LEDを使うメリットやデメリット、LED照射器を紹介します。
そもそもLEDとは?
LEDとは、一体どのようなものなのでしょうか?LEDとは「Light Emitting Diode」の略称であり、「光る半導体」のことを指します。日本では発光ダイオードとも呼ばれています。
LEDは、車のライトや植物育成ライトなど様々なところで利用されていますが、近年では薄毛治療として利用されています。
薄毛治療に利用されるものとしては、LEDのほかに低出力レーザーというものもあります。低出力レーザーはLLLT(Low Level Laser Therapy)とも呼ばれており、レーザーの波長は赤色LEDに近い650nm前後です。
LEDは育毛に効果があるのか?
では、LEDには育毛効果があるのでしょうか?結論から述べると、LEDは育毛に効果があるといえます。
美容皮膚科「ミニョンベルクリニック」の小笠原正弘氏の研究では、男性10人に超狭帯域の赤色LEDを一定期間に渡り照射したところ、育毛効果についての有効率が100%という結果が出ています。
また、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」(以下:ガイドライン)1)では、男性型脱毛症(AGA)の治療でLED照射を行うよう勧めるとされています。さらに、発毛効果に関しての有用性を示す十分な根拠があることも記載されています。
薄毛治療に用いられるのはLEDのなかでも赤色LEDです。LEDの光には赤色・緑色・青色などの種類がありますが、赤色LEDは630nm(ナノメートル)と波長が長く、頭皮の奥深くまで光が行き渡りやすいという特徴があります。一方、緑色や青色は赤色よりも波長が短く、頭皮の奥まで光が届きにくいです。
このように、頭皮に赤色LEDを照射することで、育毛や発毛などの効果が期待できるのです。
1)眞鍋求, 坪井良治, 板見智 他, 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会. 2017, 127, 2763–2777.LEDによる育毛の仕組み
赤色LEDには育毛効果があることがわかりましたが、どのようにして育毛効果が起こるのでしょうか。ここでは、LEDによる育毛の仕組みについて解説します。
毛乳頭細胞の活性化
LEDの照射では、毛髪の成長をコントロールしている毛乳頭細胞が活性化することで、育毛効果が起こると考えられています。毛乳頭細胞が活性化することでタンパク質が産生され、毛髪の成長を促進させて太い髪の毛を作ります。
上で紹介した研究では、赤色の超狭帯域LEDが毛乳頭細胞をはじめとする様々な細胞の活性化を促すと説明されています。超狭帯域の赤色LED光は、緑や青のLEDでは届かない頭皮下の毛乳頭細胞の活性化を促すため、育毛・発毛効果が期待できるのです。
成長因子の増加
LED照射による育毛の仕組みとして、毛髪の成長因子の増加も挙げられます。LEDを照射することで、育毛や発毛を促進する成長因子が増加すると考えられています。
小笠原正弘氏は、培養ヒト毛乳頭細胞に赤色LEDを照射した後に細胞を回収し、どのような因子が増減しているのかを調査しました。
調査の結果、赤色LEDによって毛の発育に必要な成長因子であるHGFやLeptin、VEGF-Aといった物質の濃度が優位に上昇していることが確認されました。赤色LEDは毛乳頭からの成長因子の分泌を刺激し、毛成長を促進していると考えられるのです。
赤色LEDを使うメリットとは?
赤色LEDには発毛・育毛効果があることがわかりました。育毛にはLED以外にも内服薬や外用薬、頭皮マッサージ、自毛植毛など様々な方法がありますが、赤色LEDを使うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。ここではメリットを3つほど紹介します。
リスクが少ない
赤色LEDによる育毛では、内服薬や外用薬、自毛植毛などの方法と比べてリスクが少ない傾向にあります。
内服薬・外用薬を使って育毛する場合、低い確率ではありますが肝機能障害や性機能不全、顔面の多毛などの副作用が現れる可能性があります。また、自毛植毛では麻酔注射の際や施術後の傷あとから痛みを感じることがあります。
赤色LEDは頭皮に直接触れないため、痛みを感じることがほとんどありません。頭皮にLEDの光を当てるだけでよいので、薬の服用に抵抗がある人でも利用できます。
負担が少ない
赤色LEDを使うメリットとして、負担が少ないことも挙げられます。
家庭用のLED照射器を購入すれば、何度もクリニックに通う必要がなくなるため、通院する負担を減らせます。
また、ほんのりと頭皮が温かくなる程度で、熱さや痛みなどの心配はないとされています。そのため、身体への負担も最小限に抑えられるでしょう。
育毛に推奨されている
育毛に対して推奨されているという点も、赤色LEDのメリットです。
ここまで説明してきたように、赤色LEDは育毛・発毛効果に関する様々な研究が行われており、育毛効果があることがわかっています。日本皮膚科学会のガイドライン1)でも、発毛効果についての十分な根拠があることが説明されています。
世の中には育毛方法に関する様々な情報が流れていますが、なかには育毛効果が定かではないものもあります。その点、赤色LEDは育毛や発毛に関して推奨されているため、その効果が信頼できます。
赤色LEDのデメリットとは?
赤色LEDには以下のようにいくつかデメリットもあります。
コストがかかる
赤色LEDを使って育毛をするには、専門のクリニックで治療を受けたり家庭用の機器を買ったりするためのコストがかかります。
専門のクリニックでLEDによる治療を受ける場合は、1回あたり約5,000円ほどの費用が必要となります。
また、赤色LEDを搭載した家庭用の機械の価格はおおよそ5万〜20万円です。医師監修の製品は、高額になる傾向にあります。ただ、家庭用のLED照射機は一度購入すればずっと使えるため、ランニングコストのかかる内服薬や外用薬などに比べると安く済む可能性もあります。
継続が必要
赤色LEDによる育毛は継続的に行う必要があります。内服薬や外用薬による育毛と同様に、赤色LEDも育毛効果が出るまでに時間がかかるのです。
育毛効果が確認された小笠原正弘氏の研究でも、週に1~3回、3〜8ヶ月にわたって赤色LEDを照射することで育毛効果が確認できました。
専門のクリニックで治療を受ける場合も家庭用のLED照射器で育毛する場合も、効果が現れるまでに一定の期間が必要となるため注意しましょう。
毛根が必要
赤色LEDで育毛をするには、頭皮に毛根が残っている必要があります。
赤色LEDは、毛根にある毛乳頭細胞を活性化させることで育毛を促します。ゆえに、毛根や毛乳頭細胞が死滅しているとLEDの光を当てても育毛効果が期待できなくなってしまいます。赤色LEDによる育毛をしたいと考えている人は、毛根がなくならないうちに早めに始めるのがよいでしょう。
頭皮の毛根が何らかの理由で消失している場合は、植毛などの育毛方法を検討するのがよいかもしれません。
専門クリニックで利用できる最新の育毛機器
より本格的に育毛を行いたいなら、LEDだけでなく最新の育毛機器を利用する方法もあります。そういった機器を利用することで、LEDだけを利用する場合よりも効果が得られるかもしれません。ここでは、専門クリニックで利用できる最新の育毛機器を2つ紹介します。
頭皮活性化マシン「髪サプライズ」
「髪サプライズ」は、白山クリニックに導入されている頭皮活性化照射マシンです。
毛乳頭細胞を活性化させる超狭帯域の赤色LEDと、育毛阻害因子となりうる皮脂の分泌を抑える青色LEDなどを照射することで育毛を促進します。また、より毛根の奥にまで浸透する近赤外線も搭載しており、コラーゲンの再合成を促すとともに毛乳頭細胞を活性化します。
さらに、独自の特定周波数による刺激を段階的に照射することで、毛細血管の拡張や毛髪の成長期誘導などが期待できます。
非接触振動圧刺激装置
LEDを照射する機器ではありせんが、育毛効果が期待できる最新の機器として「非接触振動圧刺激装置」があります。非接触振動圧刺激装置は、超音波によって非接触で頭皮に振動圧刺激を与える装置です。
ピクシーダストテクノロジーズと日本医科大学形成外科教室・Dクリニックが共同で行った研究では、超音波を用いて非接触で頭皮に振動圧刺激を与える技術により発毛を促進することが認められました。
臨床試験では、非接触振動圧刺激を頭皮に週1回、20分間照射することによって成長期毛割合が増加し、休止期毛割合が減少することを確認しました。
この装置は、薄毛・AGA治療を行っているDクリニックに試験的に導入されています。
まとめ:信頼のおけるLED照射器で育毛に取り組もう
LEDを頭皮に照射することで、毛乳頭細胞の活性化や成長因子の増加などが起こり、それによって育毛効果が期待できます。
LEDによる育毛は、専門のクリニックや家庭用の機器などで行うことができます。LED照射機を利用する際には、AGA専門のクリニックの機器を利用するか、信頼性の高いメーカーや販売元から購入するようにしましょう。