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AGA対策

【ドクター監修】最新の薄毛治療を徹底調査!現在受けられる方法と効果を解説します

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監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士 【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授 【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など
薄毛や抜け毛を改善・予防するために、治療を検討している方は多いと思います。50代以上で40数%の男性が前頭部と頭頂部に多く認められる男性型脱毛症を発症していると報告されています1)。現代では最新の研究成果や技術を利用した治療が行われており、様々な薄毛治療を受けることができます。適切な治療を受けることで、薄毛の改善が期待できるはずです。 1) 板見智, 日本人成人男性における毛髪(男性型脱毛)に関する意識調査. 日本医事新報, 2004, 4209, 27–29.

ただ、「どんな手法が開発されているのか」「最新の薄毛治療ではどこまで改善できるのか」「どんな技術を用いているのか」などに興味があっても、調べ方がわからないという人は多いのではないでしょうか。

この記事では、一般的な薄毛治療の種類や最新の治療法、これまで発表された薄毛治療の最新ニュースなどを紹介します。薄毛治療を検討している方や最新の治療法に関心のある方は、ぜひ参考にしてください。

現代の薄毛治療の種類

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最新の薄毛治療について解説する前に、日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン(2017)」2)をもとに、これまでにその効果が証明され、現代で利用されている最新の薄毛治療の種類を紹介します。

2) 眞鍋求, 坪井良治, 板見智 他, 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会. 2017, 127, 2763–2777.

1.治療薬

薄毛治療では従来一般的に、内服薬・外用薬が用いられています。治療薬には様々なものがあり、その効果が定かでないものもありますが、ガイドラインにおいて男性型脱毛症で推奨度A(行うよう強く勧める) とされている治療薬は以下の通りです。

成分名

種類

概要

フィナステリド

内服薬

5αリダクターゼII型3)を阻害する働きにより、テストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変化することを防ぎ、DHTによって短縮されたヘアサイクルを正常に戻す効果がある。女性型脱毛症には行うべきではないとされている。3) テストステロンという男性ホルモンをジヒドロテストステロン(DHT)へ変換する酵素。5αリダクターゼII型は男性型脱毛部位の前頭部・頭頂部の頭毛や髭に存在し、DHTは脱毛シグナルを誘導して、太く抜けにくい毛が細く抜けやすい毛に髪の質を変えることで、抜け毛や薄毛が目立つようになります。

デュタステリド

内服薬

デュタステリドは5αリダクターゼI型4)・II型の両方を阻害する働きを持ち、AGA(男性型脱毛症)の症状を改善させる働きを持つ。女性型脱毛症には内服療法を行うべきではないとされている。4) 5αリダクターゼI型は頭毛(側頭部、後頭部)、髭や腋毛など全身に分布しており、皮脂の分泌量に影響しています。

ミノキシジル

外用薬

1980年代に世界で初めて認可された薄毛治療薬5)。血管拡張作用があり、発毛・毛髪の成長促進などの効果が認められている。日本人男性の男性型脱毛症に対してミノキシジル2%と5%を比較したところ発毛効果の有効性が認められ男性型脱毛症に5%ミノキシジル6)、女性型脱毛症には1%ミノキシジルを外用するよう強く勧める、とされている。5) 1988年に米国で2%ミノキシジル外用薬が認可され、日本では1996年に1%ミノキシジル外用薬が薬局やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品として販売されました。6) 5%ミノキシジルの臨床的に意義のある発毛効果は2009年に報告されています。 R. Tsuboi, O. Arano, T. Nishikawa, H. Yamada, K. Katsuoka, J. Dermatol., 2009, 36, 437–446.

アデノシン

外用薬

毛乳頭細胞にある受容体に直接作用して、発毛促進因子であるFGF-7の産出を高めることにより、発毛を促進する。アデノシンの発毛効果には男性に対する有効性を示す十分な根拠があるので外用療法を行うよう勧める一方、女性に対する有効性を示す根拠はまだ不足しているとされている。

これらの治療薬には、男性における薄毛の95%を占めるとされるAGA(男性型脱毛症)の進行を抑え、改善する効果が認められています。また、複数の臨床試験で有効性や安全性などが確認されているため、治療薬としての信頼性も高いでしょう。

2.自毛植毛

自毛植毛とは、髪が薄くなった部分に自らの毛髪を移植する薄毛治療です。

ガイドラインでの推奨度はB(行うよう勧める)とされています。治療薬による効果が十分に得られない症状であり、他の治療手段がなく経験と技術を持った医師が施術する場合に限り、自毛植毛を勧めています。

自毛植毛にはいくつか種類があり、ここでは代表的なものを紹介します。

自毛植毛の種類

概要

FUT法(ストリップ法)

メスで後頭部から毛髪を頭皮ごと切除・採取し、皮膚を毛包単位に分けてから移植先に植え込みます。

FUE法

直径1ミリ前後の丸い刃がついたパンチというチューブ型の器具で髪の毛を毛根ごと採取し、移植先に植え込みます。

CHOI法(ニードル法)

植毛針を使用して、穴開けと毛の植え込みを同時に行います。

ARTAS植毛

ARTAS(アルタス)というロボットを使用した方法。厳密にはFUE法の一種ですが、従来よりも精密で費用が安い。

薄毛治療において自毛植毛は高い効果を発揮するとされており、ガイドラインでも「Beehnerは著書の中で複数の報告を検討し、自毛植毛術は82.5%以上という高い生着率が得られることを記載している」と説明されています。

3.LED・低出力レーザー照射

LED ・低出力レーザーによる薄毛治療とは、高輝度LEDの光や低出力レーザーを頭皮に照射して血流を改善し、毛母細胞を活性化して発毛を促すものです。

発毛効果の有用性を示す十分な根拠があり、治療に伴う痛みや副作用が少ないため、ガイドラインでは推奨度Bとされており、適切な機材を使用して行うよう勧めるとされています。

持病や体質などの関係で投薬治療を受けられない場合に使用されたり、治療薬と併用されたりします。

最新の薄毛治療法を紹介

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薄毛治療には様々な方法があり、それぞれの分野で研究が進んでいます。ここでは、現在日本で用いられている最新の薄毛治療法を3つ紹介します。

1.日本初の技術を搭載した「非接触振動圧刺激装置」

「非接触振動圧刺激装置」は、超音波によって非接触で頭皮に振動圧刺激を与える装置です。発毛治療に使用する塗り薬と併用することで、通常よりも早いスピードでの発毛が期待できます。

臨床試験では、非接触振動圧刺激を頭皮に週1回、20分間照射することによって成長期毛割合が増加し、休止期毛割合が減少することを確認しました。非接触で振動を与えるので感染予防ができ、頭皮を痛めることなく治療を継続できるのも大きなメリットといえます。

この装置は、薄毛・AGA治療を行っているDクリニックに試験的に導入されています。

▶Dクリニックはこちら

2.アジア人に適した「併用療法」

併用療法とは、内服薬・外用薬・注射薬を適切に組み合わせた治療法のことです。経口フィナステリドやミノキシジル、リドカイン、注射薬などを併用することで治療を行います。日本を含むアジア人男性のAGA発症は白人男性に比べ10年ほど遅くなるため、アジア人に限定されている治療法です。

田中洋平・麻生泰「アジア人男性における男性型脱毛症の治療(2018)」では、2011〜2017年の8年間で、アジア人男性18,918人に併用療法を行った成果が報告されています。6~12ヵ月後のアンケートにおいて、80~96%という高い割合で治療に満足したという結果が示されました。

併用療法は薄毛治療専門のクリニックで受けられます。

3.進化した自毛植毛治療

クリニックの努力もあり、自毛植毛の技術は日々進化しています。

親和クリニックでは、新たに開発した国内最小径のマイクロパンチブレードを用いた「MIRAI法」を開発。0.85mmのマイクロパンチグレードを用いてドナーを採取し、0.5〜0.6mmのマイクロパンチブレードで移植ホールを作成します。痛みなど身体への負担を抑えて、傷あとを目立ちにくくすることができます。

また、AGAスキンクリニックでは、従来のFUE植毛をより毛包の切断率を低く、定着率を高めるために改良した「Hair Strong植毛」を開発しています。極細の特殊なFUE専用パンチで丁寧に採取し、ナチュラルで美しい仕上がりと術後の痛みが軽いのが特徴です。

ただ、これらの治療法は医師の力量や施術するクリニックのチームワークによるものが大きく、施術費用が高額となる傾向にあります。

【2022年】薄毛治療最新ニュース

非接触振動圧刺激によってミノキシジルの発毛効果を高めることを立証

PR TIMES「ピクシーダストテクノロジーズ、日本医科大学・Dクリニックとの共同研究において非接触振動圧刺激によりミノキシジルの発毛効果を高めることを立証」

日付:2021年11月16日

AGA治療薬としてよく用いられるミノキシジルには発毛効果はあるものの、治療開始から効果を実感できるまで4〜6ヵ月を要することが課題でした。頭髪治療専門のクリニックであるDクリニックと日本医科大学の研究によって、非接触振動圧刺激装置とミノキシジルを併用することで休止期から成長期へ毛周期の移行を促進することで発毛効果を加速し、さらに長期的な治療によって発毛効果を持続できる可能性があることがわかりました。

臨床研究はAGAを発症した42〜56歳の男性19名を対象としたもので、頭頂部の左右に径2cmの非接触振動圧刺激と、ミノキシジル配合外用液5%を毎日2回塗布。研究結果より、ミノキシジルの発毛効果を3ヵ月の時点で2倍強、6ヵ月の時点で4倍強にまで高めることが示唆されました。

日常でも手軽にヘアケアできるよう、非接触振動圧刺激の技術を用いた一般家庭向けの小型デバイスの研究開発が進められています。

発毛のカギとなる細胞特定

朝日新聞「発毛のカギとなる細胞特定、脱毛症治療に資金集め 理研」

日付:2021年2月10日

理化学研究所などのグループは、毛包再生能力を維持したまま毛包幹細胞を生体外で100倍以上増幅する培養手段を確立。さらに、長期間にわたる周期的な毛包再生に必要となる幹細胞集団を明らかにしました。

同グループは、マウスから採取した毛包幹細胞の集団に対し、約220通りの培養を試みました。その結果として、特定の条件下であれば6日間で約190倍に増えることが明らかに。さらに、この条件で培養した幹細胞集団の能力を調べると、81%で3回以上毛が生え替わることが判明しました。

この研究結果は、毛包上皮性幹細胞の周期的な毛包再生や分化や運命決定のメカニズム、上皮性幹細胞間の細胞系譜の理解など、生物学上の根本的な問いに答える足掛かりになると考えられます。

また、少数の毛包から大量の再生毛包を製造できることから、この研究の培養方法を応用することで毛包器官再生医療の実現に大きく貢献することが期待されています。

幹細胞技術で「髪」復活?

エキサイトニュース「失われた髪は取り戻せるのか?薄毛・無毛治療研究の最前線」

日付:2022年1月28日

dNovo社は毛包遺伝子の活動パターンを変化させて、普通の細胞を髪幹細胞に転換し、新しい毛包を作り出そうとしています。毛髪が欠乏した部分の毛穴から幹細胞が流出していることが明らかになっていますが、失われた幹細胞を移植によって回復させ毛髪を蘇らせるという試みです。

今の段階で実証実験は行われていませんが、dNovo社はマウスの体に人間の髪幹細胞を移植し、マウスの体で人間の髪の毛を培養するという実験を繰り返しています。実用化は先になりそうですが、今後の薄毛治療への活用が期待されます。

男性型脱毛症患者の頭皮に粘度の高い皮脂成分が多いことを発見

大正製薬「男性型脱毛症「AGA」患者の頭皮に粘度の高い皮脂成分(トリグリセリド)が多いことを発見」

日付:2022年1月11日

AGAの発症において、一般的には遺伝的要因が強いとされていますが、最近では遺伝以外の要因も示唆されています。

大正製薬株式会社と明治薬科大学薬学部の杉田隆教授は、遺伝性以外の要因として頭皮環境との関係性に着目し、AGA群(55名)と、非AGA群(63名)計118名の頭皮の皮脂、細菌、真菌を分析。分析の結果、AGA患者の頭皮には皮脂成分のトリグリセリドや細菌のアクネ菌、真菌のマラセチア属菌が多く存在することがわかりました。つまり、皮脂中のトリグリセリド、アクネ菌、マラセチア属菌がAGAの原因や進行に影響している可能性が示唆されたのです。

頭皮の皮脂成分は、細菌や真菌の栄養源になると言われているため、日々の髪や頭皮の皮脂ケアを行うことが重要であるといえます。

中高年以降の肥満は脱毛・薄毛を促進することを確認

マイナビニュース「医科歯科大など、中高年以降の肥満は脱毛・薄毛を促進することを確認」

日付:2021年06月28日

東京医科歯科大学・東京大学・日本医療研究開発機構・アデランスは、肥満の原因となる要素が毛包幹細胞に働きかけ、薄毛・脱毛を促進する仕組みを見つけ出したと発表しました。

研究チームは、老若両方のマウスに高脂肪食を与えて比較検証を行いました。その結果、加齢マウスは1ヵ月間のみ高脂肪食を摂取するだけでも毛が再生しにくくなり、若齢マウスは数ヵ月以上の高脂肪食と毛周期を繰り返すことによって毛が薄くなることが明らかになりました。

加齢と肥満はいずれも幹細胞の枯渇を引き起こし、相乗的に脱毛を進行させることが解明されたのです。

頭皮マッサージが毛乳頭細胞へ物理刺激を伝え、毛径を増大させる

Dクリニック「頭皮マッサージが毛乳頭細胞へ物理刺激を伝え、毛径を増大させる可能性について」

日付:2016年1月25日

Dクリニックは、頭皮マッサージなどの物理刺激が毛乳頭細胞に与える影響について臨床試験を実施し、24週で健常男性の毛径が増大することを確認しました。

毛乳頭細胞とは、毛髪の付け根に位置する毛乳頭に存在する細胞のことです。毛母細胞に発毛または脱毛指令を送り、毛髪の成長をコントロールしています。

本試験では、市販の頭皮マッサージマシンを使い、6ヵ月間頭皮マッサージを行いました。その後計測したところ、24週の時点で毛径の有意な増加が認められました。また、毛髪の成長をコントロールする毛乳頭へ伝わった刺激が、毛周期に関与する遺伝子の発現に影響を及ぼしている可能性も示唆されています。

まとめ:最新の薄毛治療で効果的に改善

薄毛治療は、内服・外用薬、LED・低出力レーザーなどの光、物理的刺激や外科的手術などさまざまな分野で研究開発が進んでいます。ここで紹介した最新の治療法を利用することで、薄毛をより効果的に改善できる可能性があります。今後も最新の研究成果によって新しい技術が開発され、画期的な効果を得られる時代が訪れるかもしれません。

ただし、薄毛治療に関しては効果が定かではない治療も多いので、いずれの場合も薄毛治療に精通した専門の医師に判断を仰ぐのがよいでしょう。その場合には、遺伝子検査やミネラル検査を受けることができ、効果が証明されている治療薬をまず処方してもらえるクリニックを選ぶのがよいです。

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