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AGA対策

AGAのセルフチェック9つの方法を紹介!項目と対処法なども解説

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監修ドクター
高田弘弥
日本医科大学形成外科学教室・抗加齢予防医学講座教授 医学博士・工学博士 【略歴】京都大学大学院工学研究科,名古屋大学大学院医学系研究科修了後,イギリス・ウォーリック大学,フランス国立科学研究所へ留学,日系化粧品会社所長代理・フランス系化粧品会社マネージャを経て,2018年より日本医科大学付属病院形成外科講師,現在同教授 【受賞歴】第11回世界毛髪研究会議(国際毛髪会議)最優秀賞(口頭発表部門),バルセロナ(スペイン),2019年など

「最近、髪の毛が薄くなった」「髪の毛がよく抜けるようになった」と感じている人のなかには、自分がAGA(男性型脱毛症)なのではないかという不安を抱えている人も多いと思います。

自分がAGAかどうかは医療機関などで検査してもらえばわかりますが、セルフチェックすることはできるのでしょうか。セルフチェックでAGAかどうかを自分で確かめることができれば、早めに対策を始めることができます。

この記事では、AGAのセルフチェックの方法を紹介するとともに、もしAGAだった場合にどのような対処をすればいいかを解説します。AGAかどうかを確実に判断するための専門クリニックでの検査についても紹介するので参考にしてください。

AGAとは?その仕組みを解説

そもそも、AGAとはどのようにして起こるのでしょうか。AGAとは「男性型脱毛症(androgenetic alopecia:AGA)」の略称であり、男性の薄毛や抜け毛の大きな原因です。アメリカ脱毛症協会によると、男性における薄毛の95%はAGAが原因とされています1)

毛髪は、髪が成長する成長期から退行期に移り成長が止まります。その後、完全に成長が止まる休止期という期間を経て抜け落ちます。AGAを発症すると、この成長期の期間が短縮してしまいます。それによって、髪の毛の成長が不十分となり、細く短い毛が増えたり抜け毛が増えたりして、最終的に薄毛となります。

AGAのセルフチェックをする際には、こういったAGAの特性を理解したうえで判断することが重要です。また、AGAは高い確率で遺伝すると言われているため、AGAが遺伝している可能性についても確認する必要があります。

1)Paul J. McAndrews, American Hair Loss Association(アメリカ脱毛症協会)

AGAのセルフチェック9項目

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ここでは、AGAのセルフチェックをする際に確認すべき9つの項目を紹介します。ここで挙げる項目に当てはまる場合は、AGAを発症している、もしくは将来AGAになる可能性があるので注意しましょう。

1.髪の毛が細く短くなっていないか

髪の毛が細く短くなっている場合や産毛のような毛が増えている場合は、AGAを発症している可能性があります。

日本皮膚科学会のガイドライン2)には、AGAの定義について「前頭部や頭頂部の頭髪が、軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が皮表に現れなくなる現象である」と記載されています。

また、坪井良治先生による論文3)では、AGAの初期症状について「成長期が短くなることにより毛包がミニチュア化し、結果的に頭髪が細く短くなる」と説明されています。

髪の毛が細く短くなっている場合は、AGAを発症している可能性があります。髪をとかしたブラシや枕についた抜け毛などの状態を観察してみましょう。

2)眞鍋求, 坪井良治, 板見智 他, 男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版. 日皮会. 2017, 127, 2763–2777.

3)坪井良治, 男性型脱毛症治療の現状と今後の展望, 日薬理誌 (Folia Pharmacol. Jpn.) 2009, 133, 78–81.

2.抜け毛が増えていないか

AGAを発症すると抜け毛の量が増えるため、普段の生活で抜け毛が増えていないかもチェックしましょう。AGAでは、ヘアサイクルにおける成長期が短縮し、退行期や休止期に移るまでの期間が短くなります。通常よりも早く退行期や休止期に移ることで、髪の毛が十分に成長せずに抜けてしまうため、抜け毛が増えるのです。

松山淳先生の論文4)では、「ヘアサイクルから考えると1日50〜100本くらいは抜けても生理的範囲内である」とされています。この量を大きくこえる抜け毛が続く場合はAGAを発症しており、ヘアサイクルが乱れている可能性が高いと言えます。

シャンプーをする時の手や起床時の枕などを見て、抜け毛の量が多くなっていないかを確認してみましょう。

4)松山淳, 臨床発毛医学の現状と展望 2018. 国際抗老化再生医療学会雑誌第一号. 2018, 25−30.

3.親族にAGAがいないか

自分がAGAであるかどうかを調べるには、親族にAGAの人がいないかをチェックしましょう。

日本皮膚科学会のガイドライン2)に「男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンが関与する」とあるように、遺伝はAGAに深く関与しています。男性におけるAGAの81%が遺伝によるものとも言われています5)

AGAに関係する遺伝子は母親から遺伝する場合が多いとされているため、母方の祖父などがAGAではないかを確認するのがよいです。

AGAと遺伝の関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

5)Nyholt DR, Gillespie NA, Heath AC, Martin NG, Genetic Basis of Male Pattern Baldness, J Invest Dermatol. 2003, 121, 1561–1564.

4.頭頂部の薄毛や髪の生え際が後退していないか

鏡で自分の頭部を見た際に、頭頂部の髪の毛が薄くなっていたり、前頭部の生え際が後退したりしている場合は、AGAを発症しているかもしれません。

AGAでは、主に前頭部と頭頂部に薄毛が見られるようになります。ガイドライン2)でも「前頭部や頭頂部の頭髪が、軟毛化して細く短くなり、最終的には頭髪が皮表に現れなくなる現象である」と説明されています。

また、AGAの進行レベルや症例を集めた「ハミルトン・ノーウッド分類」6,7)でも、頭頂部や前頭部の薄毛が進行するパターンが報告されています。

頭頂部と前頭部には、AGAの原因となる5αリダクターゼという酵素が多く存在します。その箇所の髪が薄くなってきた場合は、AGAの可能性が高いといえます。

6)Hamilton JB. Patterned loss of hair of hair in man. Type and incidence. Ann NY Acad Sci. 53:708-728

7)Norwood OT. Male pattern baldness : classification and incidence. South Med J 68:1359-1365

5.皮脂が多くなっていないか

AGAのセルフチェックをする際は、頭皮の皮脂の量が多くなっていないかも確認しましょう。

大正製薬株式会社と明治薬科大学薬学部が行った共同研究では、「男性型脱毛症であるAGA患者の頭皮に皮脂成分のトリグリセリド、細菌のアクネ菌、真菌のマラセチア属菌が多く存在する」とされており、これらの皮脂成分や菌がAGAの進行に影響している可能性があることも発表されています。

頭皮が皮脂でベタついていたり、過剰な皮脂による炎症が起きたりしている場合は、AGAを発症している可能性があるので注意しましょう。

6.同世代と比べて髪のボリュームが少ないか

AGAのセルフチェックでは、会社の同僚や知人など、同世代の人と髪のボリュームを比べてみましょう。AGAを発症すると、毛髪が軟毛となってハリを失い、髪のボリュームが低下しやすくなります。

日本皮膚科学会のガイドライン2)では、AGAの発症頻度について「20代で約10%、30代で20%、40代で30%、50代以降で40数%と年齢とともに高くなる」と説明されています。発症頻度が低い20代・30代という年齢で同世代の人より髪のボリュームが少ないと感じる場合は、AGAによる薄毛が進行している可能性があります。

7.喫煙や飲酒の習慣がないか

喫煙や飲酒の習慣がある人は、AGAが進行しやすい可能性があります。

Dクリニックによる調査では、「喫煙や飲酒などの嗜好品を好む人はAGAが進行している傾向がみられた」という結果が出ています。

また、喫煙とAGAに関する研究では、喫煙者は喫煙していない人と比較すると、ジヒドロテストステロン(DHT)の数値が14%高いことがわかっています8)。ジヒドロテストステロンとは、AGAの原因とされる男性ホルモンのことなので、喫煙によってAGAが進行する可能性があります。

8)The relation of smoking, age, relative weight, and dietary intake to serum adrenal steroids, sex hormones, and sex hormone-binding globulin in middle-aged men,1994

8.食生活が乱れていないか

薄毛が気になるという人は、普段の食生活が乱れていないかもチェックしましょう。

食生活が乱れていると、髪の成長に必要な栄養が不足して、AGAによる薄毛が進行してしまう可能性があります。髪の毛の成長に必要なタンパク質や亜鉛、ビタミンなどの栄養を摂れているかを振り返ってみましょう。

また、普段の食事で高脂肪食を過剰に摂取しているという場合も注意が必要です。東京医科歯科大学の西村栄美教授と森永浩伸プロジェクト助教らのチームによる研究では、「肥満が男性型脱毛症の危険因子となることは疫学調査によって示されています」「高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進する」とされています。

9.ストレスが大きくないか

ストレスによってAGAを進行させてしまう可能性もあるため、ストレスが溜まっていないかもチェックしましょう。

株式会社マンダムの研究では、「ストレス指標の高い群ほど、後頭部の毛経が細いこと、毛穴あたりの毛髪本数が少ないこと、頭皮の状態が硬いことが明らかになりました」とされています。

また、神永博子先生らの論文9)には、「ストレスは肉眼的に被毛成長を低下させると共に、毛長、毛径の有意な低下を引き起こすことが明らかになった」と記載されています。

AGAだけでなく、薄毛の初期症状については以下の記事で詳しく解説しています。

9)神永博子, 臼井俊博, 四宮達郎, ストレスが被毛成長に及ぼす影響について. 2001, 111–1, 21–26.

セルフチェックをする際の注意点

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AGAのセルフチェックをする際には、事前に知っておくべき点があります。ここでは、3つの注意点について解説します。

若くてもAGAを発症する可能性がある

「AGAは年齢を経てから発症するもの」というイメージを持っている人もいるかもしれませんが、10代や20代といった若い年齢でもAGAを発症する可能性はあります。

AGAのガイドライン2)では、AGAの発症率は20代で約10%とされています。

また、薄毛の男性103名に行われたアンケート調査では、「実際に薄毛が進行しはじめたのはいつ頃でしたか?」という質問に対して5名が10代から、45名が20代から進行し始めたと回答しています。

このように、若い人でもAGAを発症する可能性があるため、「自分はまだ若いからAGAにはならないだろう」と安心しないようにしましょう。

AGAによる薄毛が進行すると、髪の毛を作り出す毛母細胞が死滅してしまい治療が難しくなってしまいます。そのため、薄毛の兆候が見られたら早めにセルフチェックや検査、治療などを行っておくのが大事です。

他の病気も疑う

AGAのセルフチェックをする際は、他の病気によって薄毛が起こっている可能性も疑いましょう。

抜け毛や薄毛といった症状が出ていたとしても、必ずしもAGAであるとは限りません。AGA以外で薄毛を引き起こす病気としては、脂漏性脱毛症や円形脱毛症、粃糠(ひこう)性脱毛症などがあります。

こういった病気では、抜け毛以外にも頭皮のフケやかゆみ、炎症などの症状が現れます。セルフチェックの際にこのような症状が見られた場合には、皮膚科などの病院を受診しましょう。

AGA以外で薄毛を引き起こす病気については、以下の記事で解説しています。

正確に検査するなら遺伝子検査

自分がAGAであるかを正確に把握したい場合は、医療機関が提供する遺伝子検査の利用も検討しましょう。

セルフチェックは簡易的な診断なので、AGAかどうかを明確に判断することはできません。遺伝子検査では、AGAを発症するリスクや薄毛の原因がAGAかどうかを調べることができます。血液や毛髪、口内の粘膜などに含まれている遺伝子情報をもとに検査するので、セルフチェックよりも正確に調査できます。

また、遺伝子検査ではAGA治療薬の効果も予測できるので、治療を効率的に進めるためにも有効です。

AGAの遺伝子検査については、以下の記事で詳しく解説しています。

ここまで、セルフチェックの方法や注意点について解説しましたが、チェックの結果、AGAを発症している傾向がある場合は、なるべく早く対処するのがよいです。その対処法について以下で解説していきます。

セルフチェックでAGAの可能性が出たときの対処法

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セルフチェックでAGAの傾向がある場合は、以下のような対処を行うのがよいでしょう。

専門クリニックを受診

AGAの可能性がある場合には、AGA専門のクリニックで検査を受けてAGAか否かを確認するのがよいです。AGA専門クリニックでは、医師による視診や血液検査、遺伝子検査などを受けることができ、AGAであるかどうかを正確に調べることができます。

また、専門クリニックであれば、AGAであることが確定した場合にそのまま治療を受けることができます。医師から症状に合った薬剤を処方してもらえますし、最新の設備などを利用した治療も行ってもらえます。

近年は、オンライン診療を受けられる専門クリニックも増えているため、専門クリニックへ直接行けない人はそういうクリニックを探してみると良いでしょう。

AGAの検査について詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください

外用薬の塗布

AGAの対処法として、外用薬を頭皮に塗布することも有効です。

ガイドライン2)では、ミノキシジルやアデノシンといった成分を含む外用薬の使用が推奨されています。こういった外用薬には発毛や育毛を促す効果が期待できます。セルフチェックでAGAの前兆がみられた段階から外用薬の塗布を行っておくことで、薄毛の進行を遅らせることができるでしょう。

ミノキシジルなどを含んだ外用薬は多数市販されていますし、専門クリニックでは成分の含有量が多く、より高い効果が期待できるものを処方してもらえる可能性もあります。

AGA治療で使われる外用薬については以下の記事で解説しています。

頭皮マッサージ

AGAによる薄毛が進行していると感じる場合は、頭皮マッサージを行うのもよいです。

Dクリニックの研究では、頭皮マッサージャーを使って24週間頭皮マッサージを行ったところ、毛の本数や伸びに変化は見られないものの、毛髪の太さが増大したという結果が得られています。

このことから、頭皮マッサージをすることでAGAによって細く短くなった髪の毛を太くでき、薄毛の進行を抑えられると考えられます。Dクリニックの研究では市販の頭皮マッサージ器が使われていますが、頭皮マッサージは自分の手で行うことも可能です。

頭皮マッサージの育毛効果については、以下の記事で詳しく解説しています。

頭皮の洗浄と保湿

AGAの可能性があると感じたら、頭皮の洗浄と保湿も行いましょう。頭皮を洗浄することで、AGAの進行に影響を及ぼすとされている過剰な皮脂や菌などを落とすことができます。

とはいえ、1日に何度もシャンプーをすると頭皮を守るための皮脂まで落としてしまい、乾燥などの原因となるため、1日1回など適度な頻度で髪を洗うようにしましょう。洗髪時には、頭皮への刺激が少ないシャンプーを使うのもよいです。

頭皮の洗浄後は、菌が繁殖するのを防ぐためにドライヤーで乾かしましょう。ただ、頭皮が乾燥しすぎると皮脂が過剰に分泌されてしまうため、頭皮専用の保湿液などを使って保湿を行うのがよいです。

生活習慣の改善

AGAの進行を防ぐには、睡眠やストレス、食生活、飲酒・喫煙などの生活習慣も改善しましょう。

普段の食事でタンパク質やビタミン、亜鉛などの栄養をバランスよく摂るとともに、脂質の高い食事をしすぎないようにすることが大切です。飲酒や喫煙の習慣がある人は、禁煙などに取り組むのもよいです。

また、ストレスによって薄毛が進行する可能性があるため、趣味などで定期的にストレスを解消するようにしましょう。

さらに、睡眠時間が少ないと髪の成長に必要な成長ホルモンの分泌量が減少してしまう可能性があります。十分な睡眠時間を取るとともに良質な睡眠をとるよう心掛けましょう。

まとめ:AGAのセルフチェックで早めにリスクを把握しよう

AGAのセルフチェックをすることで、AGAのリスクをある程度把握することができます。もし、セルフチェックでAGAの可能性が高いとわかったなら、外用薬の塗布や頭皮の洗浄・保湿、頭皮マッサージなどの対策を早めに行いましょう。最近では、自宅で頭皮ケアができる頭皮マッサージャーやLED装置などが販売されているので、それらを使用するのもおすすめです。

自宅で頭皮をケアできる機器については、以下の記事で紹介しています。

ただ、セルフチェックはクリニックでの検査と比べて正確性が劣りますし、AGA以外の病気が原因となっている可能性もあるので、正確な結果を知りたい場合にはクリニックを受診しましょう。AGA専門のクリニックでは、遺伝子情報などをもとに正確に検査してもらえますし、治療薬や最新の機器などによる治療も受けられます。

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