頭皮の血行不良による症状とは?薄毛との関係も解説
頭皮トラブルや薄毛・抜け毛などが起こっていると感じる場合は、頭皮の血行不良が起こっているかもしれません。頭皮の血行不良が起こると様々な症状が起こりますし、薄毛を招いてしまうかもしれません。
そこでこの記事では、頭皮の血行不良による症状とその原因、改善する方法を紹介します。頭皮の血行不良と薄毛との関係についても解説するので参考にしてください。
頭皮の血行不良で起こる症状とは?
頭皮が血行不良になると、どのような症状が起こるのでしょうか?3つの症状を紹介しますので、こういった症状が出ていないか確認しましょう。
髪質の変化
頭皮が血行不良になると、切れ毛、枝毛、抜け毛が増えるなど、髪質の変化が起こることがあります。
毛髪を成長させるためには、毛根にある毛母細胞へ栄養を届ける必要があります。毛母細胞は、その周辺にある毛細血管から栄養をもらって活動しているため、頭皮が血行不良を起こすと毛母細胞に栄養が行き渡らなくなります。
その結果、健康な髪が育ちにくくなり切れ毛や枝毛、抜け毛が増えてしまうなど髪質に変化が起こるのです。
頭皮の乾燥
頭皮の血行不良は頭皮の乾燥を引き起こすことがあります。血行が悪くなると、頭皮の潤いを保つための水分や栄養が行き渡らなくなり、頭皮が乾燥しやすくなるためです。 頭皮が乾燥すると薄毛をまねく皮脂の過剰分泌や炎症などを起こしやすくなりますし、男性型脱毛症(AGA)を進行させる恐れもあります。将来の薄毛を防ぐためにも頭皮が乾燥しないように保湿を行うようにしましょう。
頭皮トラブル
頭皮の血行不良によって頭皮環境が悪化すると、頭皮トラブルの症状が起こる可能性があります。頭皮の血行不良が起こっていると、大きなフケが出たり、紅斑(赤み)やかゆみ、湿疹などの症状が起こったりします。こういった症状を放置していると、将来の薄毛などを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
頭皮の赤みや湿疹などは、自覚症状がないことも多いですが、しっかりとチェックしましょう。自分でわからない場合には、医療機関で調べてもらうのもよいです。
頭皮の血行不良の症状が起きる原因とは?
そもそも頭皮の血行不良はなぜ起こるのでしょうか。ここでは主な原因を紹介します。
運動不足
最近は外出自粛やテレワークなどの影響で、運動不足に悩んでいる人も多いかと思います。
運動不足だと、全身の血液の巡りが悪くなります。頭皮にも十分な血液が行き渡りにくくなることで、頭皮の血行不良を起こしてしまいます。
特に下半身は全身のなかで7割の筋肉があり、運動をすることで全身の血行を促進する効果が期待できます。
ストレス
ストレスも頭皮の血行不良を起こす原因のひとつです。
過度なストレスを受けると、交感神経と副交感神経の2つからなる自律神経のバランスが乱れ、交感神経が優位に働きやすくなります。
交感神経には体温の調整や血圧コントロールを行う働きがあり、これが優位になると血管の収縮を招くことがあります。血管の収縮によって頭皮の血行不良を引き起こすのです。
頭皮の血行不良が疑われる場合は、ストレス解消に取り組むのがよいでしょう。
生活習慣
食事や睡眠、喫煙などの生活習慣によって、頭皮の血行不良を引き起こす可能性があります。
食事で脂質を多く摂りすぎると、血液中の脂肪分が増加し血行不良の原因となります。高脂肪の食事は薄毛を促進させてしまう恐れもあるので注意しましょう。東京医科歯科大学の発表1)では、高脂肪食の過剰摂取により薄毛や脱毛が促進されることが発表されています。
また、睡眠不足の状態だと交感神経の活動が優位になるといわれている2)ため、血行不良を防ぐには睡眠も重要です。
さらに、タバコには毛細血管を収縮させる働きを持つニコチンが含まれています。血管が収縮することで頭皮の血行不良を引き起こす可能性があります。
1)東京大学医科学研究所「高脂肪食などによる肥満が薄毛・脱毛を促進するメカニズムの解明」 2)石井海鈴, 川上保子, 大久保滋夫, 睡眠ストレスによる身体情報の変化.2019.洗浄不足
頭皮の洗浄不足も、血行不良の原因となる可能性があります。頭皮を十分に洗浄できていないと汚れや皮脂、シャンプーなどが頭皮に残ってしまい、毛穴をつまらせる角栓ができやすくなります。
角栓が頭皮の毛穴につまることで、毛穴の周辺にある毛細血管が血行不良となってしまうのです。
頭皮の毛穴のつまりについては以下の記事でも詳しく解説しています。
加齢
加齢も頭皮の血行不良を引き起こす可能性があります。
頭皮に限らず、体内では主に毛細血管を通じて血液が運ばれていますが、この毛細血管は加齢とともに劣化・減少するといわれています。株式会社資生堂の論文3)では、「加齢とともに壁細胞に覆われた血管が減少する」と説明されています。
毛細血管は40歳代から減りやすく、20歳代に比べると60歳代では4割前後減ってしまうともいわれています。
加齢により頭皮まわりの毛細血管が減少してしまうと、頭皮に栄養が行き渡りにくくなり、髪質の変化や頭皮トラブルなどを引き起こす可能性があります。
3)澤根美加, 大田正弘, 山西治代, 本山晃, 高倉伸幸, 加治屋健太朗, 皮膚老化において重要な役割を担う血管・リンパ管. 株式会社資生堂. J. Soc. Cosmet. Chem. Jpn. 2012.頭皮の血行不良を防ぐ方法
頭皮の血行不良の原因を紹介してきましたが、どのように血行不良を防げばよいのでしょうか。まず、以下のような対策を行い血行不良の原因を解決していくことで、血流の改善が期待できます。
血行不良を防ぐ方法 | 概要 |
---|---|
運動をする | 全身の血流を促す。普段あまり動かない人は、急な運動は避けて動く習慣を身につけることから始める。 |
ストレス対策 | 質の良い睡眠、適度な運動、日光浴、娯楽、適度にリラックスする時間を設けるなど、ストレス対策を行う。 |
禁煙をする | 喫煙の習慣がある場合は禁煙も有効。毛細血管を収縮させるニコチンの摂取をひかえることで血流を改善。 |
栄養バランスの良い食事をとる | 揚げ物や焼肉、スナック菓子などの高脂肪食(脂肪分が多い食事)を控えて、ビタミンEやEPA、クエン酸などの栄養を摂る。 |
睡眠の質と量を確保する | 自律神経のバランスを整えるため、6〜8時間のまとまった睡眠や質の良い睡眠をとる。 |
正しい方法でシャンプーをする | 皮脂や汚れをしっかりと落とす。シャンプーをしすぎない。 |
この他には、頭皮に直接刺激を与えることでも頭皮の血行不良の症状を防ぐことができます。
頭皮マッサージ
頭皮の血行不良を防ぐためには頭皮マッサージも有効です。特定の方法で頭皮をマッサージすることで、血行促進が期待できます。
花王株式会社ヘアケア研究所が発表した論文4)では、「種々のマッサージ基本手技が皮膚血流に与える作用を個別に評価した際、頭皮においては、圧迫法が最も血流上昇作用が高かった」と報告されています。
圧迫法を用いたマッサージとは、頭皮を指で押さえて一定の加重をかけ、その後加重をゆるめるということを繰り返すマッサージ法です。具体的な手順は、以下の記事で解説しています。
4)曽我 元, 森田 康治, 新井 賢二, 地肌マッサージの頭皮への作用, 日本化粧品技術者会誌, 2014, 48, 97–103.ミノキシジルの使用
頭皮の血行不良を改善するには、ミノキシジルという成分が含まれている外用薬を使うのもよいです。ミノキシジルには血管の拡張による血行改善作用があると考えられています5)。
また、ミノキシジルには発毛や育毛促進などの効果もあるため、血行促進だけでなく薄毛対策も同時に行うことができます。
ミノキシジルが含まれた外用薬は、薄毛専門のクリニックなどで処方してもらえますが、ドラッグストアなどで購入することも可能です。ミノキシジルが含まれている外用薬の種類や効果については、以下の記事で詳しく解説しています。
5)小友進, ミノキシジルの発毛作用について. 大正製薬(株)セルフメディケーション開発研究所. 2002血行不良かどうかを調べる方法
髪質の変化や頭皮トラブルなどが起こっており血行不良の症状である疑いがあるものの、本当に血行が悪くなっているのかを調べる方法がわからないという人もいるかもしれません。ここでは、頭皮が血行不良になっているかを調べるための2つの方法を紹介します。
頭皮の硬さを調べる
自分で頭皮の血行を調べる手段としては、頭皮の硬さを確かめるという方法があります。
血行不良になると頭皮が硬くなるというデータがあります。ライオン株式会社の資料では、『「頭皮の硬さ」を引き起こしているのは、頭皮の乾燥で、その乾燥は「血行不良」に由来すると推測されます』と説明されています。
そのため、頭皮を触ってみて以前よりも硬いと感じる場合は、血行不良となっているかもしれません。
専門クリニック
頭皮の血行不良を調べるには、薄毛やAGA専門のクリニックで診てもらうのが最も信頼性が高いでしょう。薄毛専門のクリニックでは、マイクロスコープなどで頭皮の状態をチェックしてもらえます。遺伝子検査や血液検査なども受けられるので、薄毛・AGAのリスクなども調べてもらえます。
髪質の変化や頭皮トラブルなどの症状がある場合は、その原因を突き止めたうえで適切な治療を行ってくれるので、症状の改善が期待できます。
血行不良かどうかを調べるだけでなく症状の改善も行いたいなら、専門のクリニックに相談しましょう。
頭皮の血行不良と薄毛の関係は?
巷では「頭皮の血行不良は薄毛を招く」という噂もありますが、医学的には言及されていません。
アメリカ脱毛症協会によると、男性の抜け毛の95%以上は男性型脱毛症(AGA)が原因であるとされています6)。そしてAGAの原因の80%は、遺伝によるものともいわれています7)。
つまり、男性における薄毛のほとんどはAGAによるものですが、AGAの発症原因は遺伝的素因が大きいため、頭皮の血行不良と薄毛の関係性は薄いと考えられるのです。
ただし、頭皮や毛根に栄養が行き渡らないと一時的に抜け毛などが起こる可能性もあるので、血行不良のケアも重要です。
6)Paul J. McAndrews, American Hair Loss Association(アメリカ脱毛症協会) 7)Nyholt DR, Gillespie NA, Heath AC, Martin NG, Genetic Basis of Male Pattern Baldness, J Invest Dermatol. 2003, 121, 1561–1564.血行以外にも発毛に影響する?
血行は発毛に影響すると考えられていますが、それだけではなく頭皮への刺激もまた影響を与えるのではないかという研究もあります。
アンファー株式会社が日本医科大学形成外科と共同で行った研究によると、「ミノキシジル投与と振動圧刺激を同時に行うと相乗的に発毛効果を高める可能性が高い」とされています。つまり、一定の刺激を頭皮に与えることがミノキシジル外用薬の発毛効果を高めるという可能性が示唆されたのです。
この振動圧刺激を超音波を利用して与えられる非接触振動圧刺激装置は、薄毛・AGA治療を行っているDクリニックで試験的に導入されています。
まとめ:頭皮の血行不良は日々のケアが重要
頭皮の血行不良は髪質の変化や抜け毛、頭皮トラブルなど、様々な症状を引き起こす可能性があるので日々のケアが重要です。
頭皮の血行は生活習慣の見直しや運動、頭皮の洗浄などでよくできる可能性があります。薄毛対策も同時に行いたいなら、ミノキシジル外用薬の塗布や頭皮マッサージなどに取り組むのがよいでしょう。
血行不良を防いで健康な頭皮と毛髪を維持しましょう。